宇宙戦艦ヤマト2199総論その3

nabasensei2013-10-21

■まとめ
で、結局今回の2199はどうよ?ということですが、個人的には概ね満足、といったところです。
旧作を今回のスタッフは非常に丁寧にそれぞれの要素を取捨選択してストーリーを作ったと思いますし、旧作から今作で省かれた要素もスタッフのコメントなどを読むとそれなりに納得できるものです。
何よりリメイクではあるが、中盤からオリジナル展開を入れた為、旧作ファンでも果たしてこの先どうなるか?といった楽しみが増えたことも評価できるでしょう。


もっとも、100点満点というわけでなく
・ストーリー構成は最近のアニメ全般の中ではやや荒削り。本編で明らかにされなかった要素が多すぎる感があり。
・全体的な作画水準が高かっただけに、21〜22話は残念。仕方ない事情は充分承知しているのですが、7章の時と同じようにBD発売を遅らせてでもリテイク作業をして欲しかった。
・総論その1でも書いたが、ガミラス星の星としての特色が設定変更により、ただの穴が開いた星という平凡なものになってしまった。有機王水の海や天井都市といったギミックは残して欲しかった。
・ヤマトが強すぎ、危機感が足りない。悲壮感も少ないがこれはスタッフが意図的(現代のアニメの演出技法に合わせて)とのことで判るが、悲壮感と危機感は別。
・作品評価とは別だが、松本零士の名前が今作で出せないので、スタッフのトークが少し歯切れ悪いものがあるのも残念。


最後に書いた危機感についてはやはり波動防壁の設定がネックになってるかと。出渕氏は波動防壁については「イスカンダルまでの往復を戦艦一隻でガミラスの攻撃をかいくぐりながら行くのは無理!」という理由で設定したようだが、ちょっと強力すぎたのではないかと(苦笑)。


あとは空間磁力メッキは出して欲しかったなぁとかあるのですがこれぐらいですか。


このように不満もそれなりに多いのですが、それでも総合得点としては80点を付けたい。
この点数は自分的にはZガンダムやヱヴァのリメイクというか新訳版と同じ点数。
Zやヱヴァが旧作と同じ監督が手がけていることを考えれば、2199は立派に健闘したということになる。
正直、リメイクの構成のバランスの妙としていえば、10年ほど前に発売されたPS版ヤマトのゲームのほうが上だと思う。
ただ、じゃああのゲーム版のまま現代にアニメでリメイクしたら成功したのか?というとちょっと疑問符がつく。
やはり古臭さを出してしまっては視聴者はなかなか見てくれないものだ。
他作品を引き合いにしてすまないが、松本零士の「オズマ」も話題になることはなかった。
WOWOW限定ということを除いても、松本世代の自分でも見たいという意欲は湧かなかったのである。
そういう意味では現代風にアレンジした2199は成功といえるだろう。


■感謝の言葉、そして
以上をもって自分の感想はひとまず締めくくりたい。ほんとはまだまだ書きたいことはあるけどきりがないので(汗)。
色々と欠陥もある作品だが、それでも自分は出渕総監督以下スタッフにねぎらいと感謝の言葉を贈りたい。


制作前から監督はリメイク故叩かれることも覚悟のうえで望んだし、スタッフもヤマト好きの方が多かったので旧作からの改変などもじっくり吟味しているのがじわじわ伝わってくる。
なんだかんだで2199の作品からはヤマトが好きで作ったんだ!というオーラが出てくる。
絵コンテや原画で優秀なスタッフが多数参加したのもよかった。
本当にお疲れ様でした。そして来年の劇場版も期待してます。


…といいつつ、個人的には庵野版ヤマトが見たいという気持ちもやはりあるわけで(苦笑)。
なぁに、10年後ぐらいに作ってくれるよきっと。その時はまた出渕版ヤマトと比べてあれこれ語るのも老後の楽しみということで。


最後に、これは書いておかないといけないこと。
今作では旧作ファンからも非常に注目され、あちこちで感想も見かけた。
感想としては穏健なものと厳しいものの二種があり、個人的な予想だが
・穏健派…旧作ヤマトは全てみて、YAMATO2520、復活篇、キムタク版も網羅してる。
・否定派…旧作は初代、もしくはさらばまでしか認めない! その割りに旧作を見直してなく記憶を頼りに批評
という二派に分かれてる感がある。
穏健派は終盤のぐだぐだになったヤマトまで付き合っているゆえ、考えが柔軟、対して否定派はファースト原理主義者であり頭がちがち。


これは別にヤマトに限らず他の作品でもある傾向だが、たちの悪いのは後者。
旧作原理主義者の割りに記憶頼りの批評をしているので、指摘に間違いが多い。
更に現代風アレンジをしている2199だが、旧作世代は今のアニメを見てない人も多いのでそういう現代風に厳しく反対。中には雪以外の女性乗組員はいらん?という懐古主義者もいる。


意見を色々言うのは自由だが、正直「つまらん!」という率直な感想はいいのだが、やはり旧作世代は年寄りが多いせいかやたら理屈をこねて面倒かつ陰険な言い回しをする輩が多い。
中には出渕総監督以下スタッフを同人アニメレベルとこきおろす輩もいるが、じゃあなんだい、あんたらなら素晴らしい作品が作れるのかい? これだけ周到に作った作品でも駄目ならもう誰がやっても駄目なんだろあんたら?と言いたくなる。
恐らく庵野氏が旧作と同じ風に作っても、全く同じには当然なるわけもなく、作画、演出技法は変わってくるだろうから叩く奴は当然叩く。
懐古厨は叩くのが趣味みたいなもんだから、故西崎氏、もしくは松本氏が作ったとしても叩くだろう。


まぁそういう連中はアニメをずっと見てなくて、ほんとに久しぶりに新作ヤマトということで見た人もいるだろうが、それでやたら卑屈な論評してるようなら、もうアニメは卒業して全うな社会人で過ごしてください(皮肉)。
同じ旧作ファンとしてはほんと同類とみなされたくない。汚らわしい連中だ!



…ちなみに、自分が懐古厨を嫌悪する理由は2199の制作スタッフに知り合いがいる…というわけでは決してありません。誤解されると嫌だし(苦笑)。
昔、10年以上前、今は無き某ヤマト掲示板にて活発に書き込みをしていた時期があり、その時に多数の仲間たちと楽しく語り合ったり情報を提供しあったりしたものですが、やがて内部分裂が起きて掲示板は瓦解してしまいました。
原因は色々ですが懐古厨特有のいがみあいがあったのも事実。
それ故、2199に対する懐古厨の誹謗は、その当時を思い出して嫌になってしまうのです。


というわけで、言いたいことは言った。
自分の周りのヤマトファンはそういう連中はいない(批判も実に理知的にしてる)のが救いである。
ヤマト関連の批評についてはトーノZERO氏→http://mag.autumn.org/List.modf?s=yamato氏の論評が実に中立的で素晴らしいので、自分も氏の論評を手本に書いていきたいものである。


…というわけで総論は終わり。でもまだ書くことがあるので今週末の日記に続く。


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